Roel Meelkop & Takanobu Hoshino ''Fukushima'「フクシマ」obs * 030 cd collaboration, limited to 350, jewel, 42 min
私たちの共同作業
私がRoel Meelkop氏とのコラボレーションを思いついたのはおよそ1年前、2010年の秋頃であったように記憶しています。もちろん、それ以前から、氏の音楽世界は独特で、素晴らしいものであると思っていました。
コラボレーションは、今回の場合がそうであるように、異文化のバックグラウンドを持 つ人間どうしが行う方が、よりおもしろい結果を出すことができるというのが私の考え方です。その私のバックグラウンドは「縄文」と呼ばれる古代日本の文化 です。現代においては日本の国土とされている島々に、最初期から認められる「縄文」の文化は、その後の日本の伝統文化の伏流水となって、私も含めた現代日 本の人々の根底に脈々と流れています。
今回のコラボレーションCDでは、私の作品の中からRoel氏が選んだノイズ作品の数々が使用されています。それらが、私の「縄文」とは異なる文化的なバックグラウンドを持つ氏の音楽世界とうまく融合された結果が、今回のこのコラボレーションCDとなっています。
2011年3月11日。私は福島市(「縄文」の土偶・土器などが多く出土される地域 の一つです)の自宅で大震災に見舞われました。これまで体験したことのない大地震でした。マグニーチュードで9.0という世界的にも稀な大地震だったので す。当然のごとくこの大地震による揺れの直後、大きな津波が東北地方の東側沿岸を襲いました。津波はすべてを破壊して、沿岸地域はまるで原爆投下直後のよ うな状況になりました。